まだ知らない愛。
私の体から離れた男は当たり前のように答えた

お母さん…助けて…

私はお母さんを見つめた。
「出てって!!!!」
男に怒鳴る母。
「なに怒ってんだよ〜」
「いいから出てってよ!」
「そりゃお前の体もいいけどよぉ、
やっぱ若けぇのがいいに決まってんだろぉ」
服を着た男は母の肩をポンポンと叩くと出ていった。
お母さんは私を助けてくれた。
あんなところを見られたのは悲しいけど
助けてくれて嬉しかった。
「おかあさ…」
バシィッ!!!!


―部屋に響く乾いた音。
熱くジワビワと痛む右頬。
叩かれたんだと理解するのには遅くなかった。
続けて何度も頬を叩かれた。
倒れ込む私を何度も何度も蹴りあげる。


こんなに殴られたのは聞いてはいけない質問をしたあの頃以来だった。
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