まだ知らない愛。
口も切れて鼻血も止まらない。
体に浮き出でる青黒い痣。
それでも母は私を殴り続けた。

しばらくしてタバコに火をつけた母が

「ほら、背中だしな」

と言った。

訳がわからないまま向けたその背中に
激痛が走る。
ジュッという小さな音と周りにジワジワと広がる痛み。
一気に汗が吹き出る。
爪が食い込むほど手を握り締めて痛みに耐えた。
背中に広がる痛みと増え続ける印。
さっき付けたばかりの火傷の上にもう一度押し付けられる火の塊。
泣きながらその痛みに耐えた。

私の背中にそれを押し付けながら母は言う。

「あんたが生まれてきたのがいけないのよ」

だから母は私の背中に印をつける。
何度も。いくつも。
私が死ぬまで消えることのないその印は


私がこの世に生まれてきてしまった罪の印…。

< 106 / 228 >

この作品をシェア

pagetop