まだ知らない愛。
ねぇ瞬さん…。
「私は生きてていいの?」
涙声の私。
「あぁ」
力強く答えてくれる瞬さん。
「私は汚れてるのに」
「汚れてねぇよ」
「この背中の傷だって治らない」
「でもお前の心を癒すことは出来る」
どうしてそんなに私を想ってくれるの。
どうしてこんな私を見てくれるの。
私は…

「私は生まれてきちゃダメなんだよ。」

泣く私に


「―…生まれてきてくれてありがとう。」


と言って瞬さんは笑った。


その笑顔は柔らかくて
力強く自信に満ち溢れている漆黒の瞳。
私が大好きな瞳。
この人なら…って思えた。
こんな私でも抱き締めてくれるこの人なら…
私が生きていることを否定しないこの人を…
信じたいと思った。
この瞳をずっと見ていたいと思った。
「瞬さん」
「ん?」
「私、瞬さんの女になる」
今度は私からそっと瞬さんを抱きしめた。
一瞬驚いた顔をしたけど
「あぁ」
瞬さんは満足そうに笑っていた。

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