まだ知らない愛。
ギィ…
いつもより涼しい屋上に響く鉄の錆びた音。
大きく息を吸って吐いた。
私はこの開放感が好きだ。
上を向いても天井はない。青く広い空間がずーっと先まで続いている。屋上に寝転がってその空間を見つめるのが大好きだ。
「スカートめくれてる」
「!?」
突然聞こえた声とさっきまで見ていたい青い空間が隠れるほど埋め尽くされたその人の顔の近さに驚きすぎて声が出ない。
「スカート」
もう一度その距離で言うその人だけど私はその人を全く知らない。
というか…近すぎませんか!?
本当に大袈裟ではなく鼻と鼻がくっつく距離で上から話されていて違う角度から見ると誤解を招くような状態で。
「ち、近くないですか…?」
「…あぁ、ごめん」
一瞬黙り込んだその男の子は言葉を理解したのかすぐに離れてくれた。
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