まだ知らない愛。
「後ろ…?」
「う、ん…」
入ってきた時よりも張り詰める空気はこの総長さんが作り出している。
大樹さんは飴を食べながら話を聞いているし昴さんは珍しく雑誌を読んでいる。
瞬さんと葵さんは私をじっと見ていて全く状況が掴めない。
「近づくな」
「え?」
「真藤翔に近づくな」
「近づくなと言われても…席後ろです」
「じゃあ喋るな」
別に翔さんと話すことは何もないし喋るなと言われて困ることもないので頷く。
「いいな?あいつとは関わるなよ」
「はい」
もう一度念を押すように強く瞬さんに頷くと
張り詰めた空気は柔らかい空気に変わった。
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