まだ知らない愛。
バイクに乗って感じる夏の風。もう少しで夏休みになる。特に計画とかはないけど瞬さんがいてくれるなら何もなくていいやって思う。
しばらくして香る潮の匂い、速度を落として駐輪場に止めた。

「うわぁ綺麗!」
どこまでも広がる水平線に沈みかける夕日があまりにも綺麗で感動する。
きゃっきゃっと波打ち際ではしゃぐ私を見る優しい目をした瞬さんが私の名前を呼ぶ。
「桜」
「なにー?」
「楽しいか?」
「うん!楽しい!」
満面の笑みで答えると瞬さんは「よかったな」
と微笑み返してくれた。
ギュッ
また心臓が握られたような感覚…
私は気づき始めている。瞬さんを信じたいという気持ち、瞬さんのそばにいたいと思う気持ち。でも瞬さんに迷惑をかけたくないという気持ち。そして、瞬さんの笑顔を見る度に高鳴る胸の鼓動。
きっと私は瞬さんのことが…
「―…好き」
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