まだ知らない愛。
すっかり夕日は沈んで辺りは暗闇に包まれている。瞬さんの隣に座り寝転ぶとさっきまで日に照らされていた砂浜は少しだけ暖かくて心地いい。
「汚れるぞ」
「瞬さん、星が綺麗」
寝転んで見えた世界は一転していてチラチラと小さな光が暗闇の中で輝いている。底を知らない暗闇の中で輝く小さな光。
「お前みたいだ」
「え?」
「広い暗闇で頑張って光ってる星がお前に似てる」
私の隣で砂浜に寝転んだ瞬さんが夜空を見ながら優しい声で呟く。
「…瞬さんは、月だね」
「俺?」
「うん。初めて会った時からずっと、瞬さんは月みたいな人だなって思ってた」
その言葉に瞬さんは顔を横に向ける。
不意に重なる視線にまた胸が鳴った。
「なんで?」
「龍神の…旗」
「あれがどうした?」
「龍神の旗に描かれてる月を見たの。その月は星みたいに小さな光じゃなくて暗闇で大きく光っていてすごく綺麗で惹かれた」
「…」
黙って私を見つめる瞬さんに続ける。
「その綺麗で独特な雰囲気が瞬さんに初めてあった時、似てるなぁって」
誰もが足を止め見つめてしまうような魅力的な月は瞬さんを表しているように似ていた。
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