まだ知らない愛。

こんなところまで入って来ていいの！？
すっごく邪魔になってない！？
車高がありえないくらい低いフルスモークがかかったギラギラしている車はこの風景にはかなり浮いている。
どう見ても怪しすぎるその車はそっちの世界だと分かる。

瞬さんは私の肩を抱いて校内へと足を進める。
人見知りの私がいきなりこんなに視線を浴びるとさすがにキツくて俯いた。
「忘れんなよ」
「え？」
瞬さんの言葉に顔を上げると瞬さんは前を向いたまま言う。
「昨日言ったことだ」
「…」
昨日？どれのこと？
首を傾げる私に呆れたように溜め息をつく。
「真藤翔」
「あぁ！」
そう言えば昨日あの息苦しい会議で真藤翔には関わるなと言われたんだった！
思い出した私にまた瞬さんは溜め息をついた。