まだ知らない愛。
あぁ…でもやっぱり瞬さんに触れないで欲しいと思ってしまう私は嫌な奴だ。私なんかが瞬さんを独り占めしたいなんて強欲もいいところだ…。
朝のHRも始まった授業も頭には入ってこなかった。その代わりずっと浴びる女子からの視線は痛くてこの視線が嫌いな私は俯くしかなかった。

昼休みの合図が流れ、私は屋上へと向かう。
その途中で今日も元気な大樹さんと昴さんに合流した。
「桜ちゃーーーん」
「ひっ…!」
ダッシュで駆け寄ってくる大樹さんは本当に犬のようで飛びかかってきそうなその速さに顔が引き攣った。
「こら」
「いてっ」
「桜さんヒビってんだろが」
大樹さんの首根っこを掴んで止める昴さんに心の中でありがとうこざいますと頭を下げる。
だって本当に一瞬怖かったんだもん…。

ギィ…
屋上の扉を開けると瞬さんと葵さんは既にいて
何やら二人で話していたようだった。
「あ、桜ちゃん」
「こんにちは」
今日も輝く葵さんの笑顔。
この笑顔に何人の女の人が落ちたんだろう…。
「どうだ?」
「え?」
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