まだ知らない愛。
「で??どうして頭下げたって?」
すっかり忘れられていた葵さんの存在。
甘い雰囲気の外側で肘をついてこちらを見ながら面白そうに瞬さんに聞く。
葵さんはすごく優しいけどたまに意地悪だ。
「諦めてくれって」
諦めてくれ?何を??
「桜のことを、諦めてくれって言った」
顔を覆っている指の隙間からチラッと私を見る。それを見て葵さんが爆笑しだす。
フリーズする私。
だって、私のためにそんな理由で?

だんだん滲む視界のせいであまり見れなかったけど瞬さんは愛おしいような顔をしてはにかんでいた。
私は泣きながら笑っていた…。
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