まだ知らない愛。
遠慮がちに聞いた私に
「当たり前だ」
瞬さんは嬉しそうに微笑んだ。
どうして当たり前なんだろう?とか考えるよりも高鳴る胸に戸惑う。

どうしてだろう?
瞬さんを見るだけで、瞬さんと居るだけで
胸がギュってなる。
痛いような苦しいような…
よく分からないこの痛みは初めて。
病気なんだろうか?
「放課後、玄関で待ってろ」
「…はい」
「あ、そうだお前、携帯貸せ」
思いついたように手を差し出す瞬さんに
携帯を渡す。

「ん」
しばらくして戻ってきた自分の携帯を見ると
電話帳には『東城 瞬』と入っていた。
「連絡つかないと困るからな」
「え?」
「じゃあな」
瞬さんは私の頭を軽く撫でると屋上から去っていった。
瞬さんの背中を
私は無意識にずっと見つめていた。
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