まだ知らない愛。
「あれ?葵さんは?」

部屋に入って葵さんが居ない事に気づいた。
「あぁ、下にいたぞ」
「へぇ…」
いつも葵さんと話してるからなぁ。
暇になるな…。
急にドカッと私の横に座った大輝さんが
犬のように可愛い目をキラキラさせて
「桜!ゲームしよう!!!!」
って言う。

やばい…すごくキラキラしてる…
断るとシュンってなる顔を想像すると
やっぱり可愛いんだろうけど胸が痛むから
「いいですよ」
と言った。
そしたら大輝さんはさらに目をキラキラさせていて、やっぱり子供みたい。


「んがーー!負けた!!!!」
ちょっと簡単な格闘ゲームで私に負けた大輝さんは本当に子供みたいだった。
「大輝、うるせぇぞ」
パソコンを開いて何やら作業をしている昴さんが言う。
「はい…」
大輝さんはシュンとして静かになった。
想像以上に肩を落とす姿はまるで
ご主人様が帰ってきたと思って玄関に
駆けつけたけど、ただの郵便屋さんだったことにシュンとする犬のよう…。
か、可愛い…。
可哀想だけど可愛いその大輝さんの頭をそっと撫でると
大輝さんは少し驚いた顔をしたけど、ニカッと満面の笑みを返してくれた。
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