まだ知らない愛。
服を着てリビングに戻ると
瞬さんは誰かと電話をしていた。

私に気づくと「またかけ直す」と言って切った。

「桜」
「はい」
「髪乾かすからこっち来い」

ソファに座る瞬さんの手にはドライヤーが
握られていて手招きをしている。

駆け寄って瞬さんの足の間にちょこんと座った。


「お前髪染めてんのか?」
私の髪を乾かしながら少し大きめの声で
聞いてきた。
私もドライヤーの音に負けないように答える。
「染めてない」
「綺麗な髪だな」
「そうかな…?」
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