まだ知らない愛。
「今度は私が瞬さんの髪を乾かす」

なるべく空気が重くならないように、
気づかれないように話を繋げた。



瞬さんの髪を乾かし終わったら帰ろう。
私なんかが居ていい場所じゃない…。


瞬さんの髪に手をかけようとしたら
それは瞬さんの手によって遮られた。
私の腕を掴む瞬さん。
数秒の沈黙が流れる。
時計の針の音がやたら大きく聞こえる。


「…瞬さん?」
少し濡れた髪が湿った肌が色っぽい。
なんて場違いなことを一瞬思ったけど
なんとなく嫌な予感がした。

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