よるをゆく
光だけを


それからというもの、僕と彼女は夜という枠から飛び出て、まるで普通の友人同士のような関係になった。ネオンの先を見つめる理由、軽い昔語りが終わったあの後に彼女が携帯電話の番号を聞いてきたときは本当に驚いた。一体何を企んでいるのかと疑ったほどだ。

しかし今では彼女と僕は気の合うお茶飲み友達で、とても良い関係を築けている。

勿論写真も撮り続けている。ある時、僕の撮った写真を閲覧できるホームページを作ってみたらこれが中々好評で、以来継続的に写真を載せ続けている。彼女の写真もみんなに見てもらいたくて本人に交渉してみると、話題の喫茶店で一番高いケーキを奢ってくれたらいいわよ、なんて条件を出された。

彼女の写真の反響は大きく、最近ではアマチュアバンドのCDジャケットなんかを依頼されるまでになった。彼女様々というなんというか。

彼女は相変わらず気ままで写真を撮るのも一苦労なのだが、この頃は昼間でも写真を撮らせてくれるようになった。機嫌が良い時は僕の希望通りのポーズをとってくれたりもするし、被写体を楽しんでくれているらしい。


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