純粋に想い続けた結果。


神木直の服は、私の涙で濡れていった。



「ご、ごめん。あたしのせいで服が……」



あたしは、少しずつ冷静さを取り戻してきた。



「服?全然気にしてないけど……」



「ありがとう。それで、いつ離してもらえるの?」



ずっと抱きしめられていて、少しだけ心地良く感じたのは秘密。



「あ、あー……」



そして、神木直はあたしのことを開放した。



「ふー」



「あんた、本当にあいつのこと好きなんだな。こんな泣いて目真っ赤に腫れてるし」



そう呟いた神木直の表情は、少し切なそうに見えた。

神木直の手があたしの目元に近づいたけど、すぐに離れてしまった。



「そりゃね。あなたにもあるんじゃないの?」



「なにが?」



「片想いとか、辛い恋とか……」


< 7 / 37 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop