SPRING ★ SPRING ★ SPRING
「今更気づいたのかよ。
今時の高校生は教師を見る目がなってないな。」


といたずらっぽくウインクして
ナルシストな発言をしてみせる。


「はあ。
寂しい中年は自画自賛する他にほめられる手段がないなんて
思わず同情してしまいそうですけど、
変に餌付けするとその後自立できなくなるから
見て見ぬふりしておきます。」


と返すと、
しみじみ俺を眺めて言った。


「むすっと黙りきめてるより
饒舌な渋沢の方が中年受けはいいぞ。
この調子なら
内申アップも夢じゃない。」


とすぐに成績を持ち出すやり方はすごく嫌いなはずなのに
こいつなら聞いてくれると思えたからか
憤りが冷静な言葉に乗って、なんだか素直に言葉を続けられた。


「成績って他人にこびうってまで上げるべき物なんですか?
あくまで、宇宙にある色んな計測器の内の一つで俺を計った結果にすぎないのだから
慎重計る時につま先立ちして数値を高くしても自分の身長が高くなったわけじゃないように
本質は変わらないのにかさ上げしてるみたいじゃないですか。」


すると、感心したようにまた俺を見て言った。


「やっぱ現代文のできる奴はいいな。
オールラウンダーになれる。」
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