SPRING ★ SPRING ★ SPRING
「はあ?」


今日は朝から充分ハードだったと言うのに
まだ俺に喧嘩でも売る気かよ。


群がるバカな連れどもを軽くにらんで押しのけて自分の席に向かいながら
窓際の最後尾、バネの机に視線を走らせたが、本人はおろか鞄さえ置いていなくて
教室にきていない事は明白だった。


「ごまかしたって証言がわんさか出てるんだ。
まず、昨日の保澄さんとの喧嘩に始まり、春日さんとの早朝密会、そして秘密デートに保澄さん乱入。
これを修羅場と呼ばずして昼ドラファンは語れない。」


「って、伊藤のメロドラ話しはどおでもいいんだよ。
今はもっとタイムリーかつリアルな裕吾ちゃんの恋話だろ?
な?」


「そうですぞ。
渋沢氏、保澄嬢とはどうなっているのでありますか?」


「まあ、ゆうもやるよな。
さすがの保澄も相手が春日じゃ勝負しようがねえもんな。
あいつは人間とは比べようのない別の生命体だろ?」


と、席につくなり机に身をゆだねう突っ伏した頭の上で続く無遠慮な会話。
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