SPRING ★ SPRING ★ SPRING
3ヶ月以上前から
ありったけ冷たくしているつもり。


正直、夏休みが終わるまでには
彼女の方から願い下げと言われ
分かれられると思っていた。


「私、裕吾の用事が終わるの待ってるから
一緒に帰ろうよ。」


ところが、
保澄結衣はなかなかしぶとい。


俺だって
相手に嫌われてふってもらおうとか
こんな婉曲な方法しかとっていないわけじゃない。


だけど彼女は
俺の別れ話しを絶対に聞こうとしない。


無理のある冗談みたいに聞き流したり聞こえないふりをして
その後でいっそう強く束縛してくる。


そしてこうなると面倒くさいから
俺は別れ話より彼女の俺への終着をなくす事に専念する事にした。


「何時になるか分かんないし
先帰ってて。」


のだが、どんな態度をとったって
彼女はめげずに俺から離れようとはしてくれない。


「何時になってもかまわないから
あたし待ってるよ。」


と、その無邪気な笑顔が
最近怖くてたまらない。


「いいから帰れよ。」


おっと、声が大きくなって
クラスの注目を集めてしまった。


そんな泣きそうな顔されたら
俺が悪者みたいじゃん。
< 3 / 52 >

この作品をシェア

pagetop