SPRING ★ SPRING ★ SPRING
そしてこれにいつもは
俺に抱きつくように飛びついてくる結衣も加わっていた事に思い至り
俺は間近にある机の木目さえ視界から閉め出すように瞼を閉じ耳にふたがない人間の体の作りを呪いながら
目の前の問題をとりあえず放置して眠りの世界に飛んだ。


一時間早起きをしたからか単に朝から疲れたからかは定かでないが、まどろみはすぐに俺を包み
ぼんやりした頭に浮かんだのは、「渋沢あ!」と言う今朝のバネの大声と草まみれのだばばの制服姿で、
ほんの数10分前の事なのになんだか懐かしい気さえする。


下を向き自分の腕を枕にしたまま自然と口元がほころび力が抜けて、
その後はすぐ眠りの深みにただ落ちていった。
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