SPRING ★ SPRING ★ SPRING
ふと現実に帰れば、
ついにほろほろと美しく涙をこぼしはじめた結衣を前に
フラッシュバックをおこし
固まっている俺にかけられた声は助け船でもなんでもなくて。


「渋沢君、
プライベートな事に口を挟んでわるいけど
そんなにきつい言い方をして女性を傷つけるのはどうかと思うよ。」


と、結衣に気があると噂のお節介やろうの参上を告げたのだった。


悪いと思うなら口を挟むなって切れたらすっきりするのかもしれないけど、
今の心境正直に言えば
こいつが結衣を口説き落としてくれればどれだけいいかって事。


もう全部が面倒で
こういうトラブルが最近の俺の無気力に薄謝をかけていて
もう、面倒だからやる気がでないのか、やる気がないから面倒なのかも区別がつかずに
ただ悪循環をおこしている事だけが明白な状態。


俺の精神状態は
たぶん一刻を争うほど病んでいると言うのに
結衣はしぶとすぎるのだ。


これはもはや周囲の目とか気にしていられるレベルじゃない。


たとえ明日〜陰で冷徹と言われようとも
何のためだか分かりもしないのに、不確かな世間の目に色んな気を回し
今この場を取り繕う方が俺にはしんどかった。
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