SPRING ★ SPRING ★ SPRING
ありもしない適当な用事をこなしたふりをするくらいなら
本当に進路相談をする方が
少しはましな時間の使い方に思えたから担任教師を訪ねた。


「失礼な話しかもしれないが
お前が一番乗りで相談にくるとは意外だったな。」


「全くですね。
自分でもそう思います。」


相談室に入るなり、
関心したような声を出した担任教師に
ただでさえいつもも十分愛想がないくせに、
ありったけ淡白に答えた。


「で?
そんなに張り切ってるって事は
ちょっと高めのランク目指すとかか?
渋沢は授業中ぼけえとしてる割りには頭も悪くないし
まだ1年半ある事だし、その気になれば本当にいい所行けると思うぞ。」


と、まんざらでもなさそうな顔でほめられて
邪険にされていると思っていただけに驚いた。


「教師はもっと贔屓目な生き物だと思っていたので
なんだか意外ですね。」


と正直な感想を口にすると
これもまた意外な事に、担任は笑った。


「確かにお前らみたいに余裕ぶっこいて授業もろくに聞かないくせに
テストだけは並以上だと教師の存在価値を否定されているようだから目の敵にしたくもなるが
実は俺、そう言う天才タイプも嫌いじゃないからな。」
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