不埒な騎士の口づけは蜜よりも甘く
「……ていうかディランあなた、ついさっきまでご婦人方と話してたじゃない。なんでここに……」
「らしくないサラ王女のお姿が目に留まったので、急いで駆け付けた次第です」
「本当に嫌味なくらいよくできた騎士ね…」
「……そんなことより」
そしてチラリとディランはわたくしの向こう、ひとりの男に目を向ける。
「我が主が失礼を申し上げました、……ラフィン殿下」
その言葉に絶句する。
「殿下ですって!?」
いったいどこの王子だ。
彼をまじまじと見つめると、ラフィンと呼ばれた男は肩をすくめる。
「おや、早々に君にはばれてしまったのか。つまらんな」
その仕草と、亜麻色の髪の色に既視感を覚える。
「もしかして……エリシア王国の?」
その答えに、にやりと笑って男は恭しく礼をした。
「――――いかにも。私がエリシア王国第一王子、ラフィン=アーネスト=エリシアです。以後お見知りおきを、サラ王女」