血筋という名のこの国の過去。責任という名のこの国の現在。そして、希望という名のこの国の未来。
自由と引き換えに背負わなければならない運命はあまりにも大きくて、愛する人の手を取って生きていくことでさえ、自分には叶わないのかもしれない。
それでも、貴方と過ごした日々は。貴方のくれた温もりは。
一輪の花言葉と触れるだけの口づけと共に、いつまでも、この手の中に。
50ページほどの短いお話でしたが、作り込まれたストーリーと繊細な世界観に、息をこぼさずにはいられませんでした。
切なくて胸がぎゅうっと締めつけられるけれど、愛に溢れた素敵なファンタジー。
身分違いの恋に悩み、苦しみ、ただひたすらに相手を想い続けたふたりの出す答えが、どちらであろうと。
その先に待つものはきっと、確かな幸せであることに変わりはないのです。