生涯の人… 〜Dearest〜
居酒屋に着いたらテーブルの上にはコースの料理がぎっしりと並べられてた。

着いた人順に座っていくみたいで奥から詰める形になってる。


「どぉー?グラスいったー?」

グラスが行き渡ったのを確認しながらあかりが皆の顔を見渡してる。

本当にあかりが居てくれると助かる。


それは…クラスの仲間全員が思ってると思うよ。

だってその証拠にほら…。
皆が話しピタッとやめてあかりに集中してる。


これからあかりの乾杯が始まるのをわかってるからだよ。

皆…感謝してる。


「えっと……今日で1年生も終わり新たな学年に上がりますが、皆どうだったー?あたしは本っ当にこのクラスの一員になれて幸せだったよ!仕切り屋だから色々やらせて貰った事も多かったけど……んっと、担任にも友達にも恵まれ…て…、…ちょっ、…ごめ…待って……」

言葉が詰まったあかりに皆が息を呑んだ。

だって…、あかりは今までも絶対に泣かなかった。


そのあかりが……泣いてるんだよ。




「あかりー、頑張れ!!」

「そうだよ、あかり最後まで仕切れー!」


男性チームやら詩衣が優しい野次を飛ばしてあかりを元気づけてる。

皆便乗して泣いちゃいそうなくせに…、本当最高にいい奴らじゃん。



「…ヘヘヘッ、ごめんね。…うん、もう大丈夫…。フェイントしたぁー!」

「あかりちゃーん!」

「はい、そこうるさいから!!」


いつもの彼女らしい台詞が出て周りの方がホッとした顔してる。

「…えー…、取り乱しまして……すいません…ハハッ…、とりあえず今日は幸せな気持ちで盛り上がりましょう!はい、グラス持ってー。せーのっっ、乾杯ー!!!」



グラスが鳴る音があちこちで響いてカチンって音と一緒に泣いてる声も聞こえた。

“頑張ったね、よくやったね”そう聞こえてくる。

お酒の力もあるけど色んな思いがあって…、凪も泣きながら言葉にならない声を漏らしていた。

人前では絶対に泣かない凪。


「泣いてないだ!」

なんて言いながら大粒の涙流してさ…。


凪とは…喜びも、楽しみも、悲しみも、辛さも。全て共に過ごしてきたよね。

何でだろう……涙が止まらない…。

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