生涯の人… 〜Dearest〜


「タケさん…重いんですけど…」


知らん顔して杏奈の前に入り込むのは、小銭をちゃらちゃら鳴らすタケ。

押した飲み物は今日も代わらずコーラで…。



「よし、じゃぁ今日はサービスな?アンのも買ってやるよ。…5、4、3、……」

「ぅえっ、ちょっ、ちょっと待って!」



咄嗟の言葉に反応し過ぎて押したのは杏奈の苦手なスプライトだった。

微炭酸って書いてあっても…1本飲み切れる自信ない。


炭酸の喉にピリピリする感じが大嫌いだし、普段から飲まないせいか口にした途端にひゃっくりが止まらなくなる。



「ほらー!タケが焦らせるからこんな訳わかんないのになっちゃったじゃーん!!隣のミルクティーがよかったのに!…杏奈炭酸苦手なんだよ?」

「俺のせいかよ?アンがドジだからじゃねーの!」

「違うもん。絶対タケが焦らせるから…」


お互いに罪をなすりつけながら販売機を離れた。



少し離れた所まで行ったらとうとう片方頬っぺたを引っ張られて…






「うーるーさーいー……ブッ、ハハッすげえ顔!!」

「いひゃいー!タケもやらひぇなひゃいよー!」


タケの頬っぺたは男の人にしては柔らかい。

その頬っぺたを右手で引っ張って負けじと横に伸ばした。




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