生涯の人… 〜Dearest〜


意地になってつねり合ってた時エレベーター奥の階段から琉晴と遥が歩いてきた。

眠いのか機嫌が悪いのか…。


今日も遥は下を向いてるね。

ほら…また笑ってないの。


遥は気付いてないのかな…?

ねぇ…、目が笑ってないよ。




「おー、アン…お前何やっとるん?」

「…だってタケが…」

琉晴が杏奈の手にあるスプライトを取りながら呆れた顔で笑ってる。

タケから逃げてひりひりする頬っぺたをさすった。


遥を見たけど…やっぱり杏奈を見ない。





「これ炭酸?お前飲めたっけ…?」

「あ…それは間違えたの……」

「相変わらずアホやなー…」




目の前でごくごくと喉を鳴らして飲む姿を見てた。

隣の遥は…、杏奈を見ないんだもん。


遥の視界に入れてくれないのは何でなの?

どうして杏奈を見てくれないの…?



何も話さなくていいから、目を見て欲しい。

杏奈の事見て…。
















ゆっくり、ゆっくり…。

遥の瞳が上がって、杏奈を見た。



今まで何度も見てきたよね。

遥の見つめる先に杏奈が少しでもいればいいって思ってた。




でもさ…。

遥が逸らしたら杏奈は入る事も出来ないんだよ。


その心に触れる事も許されないんだ…。




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