生涯の人… 〜Dearest〜








目を逸らされた事なんて今までないのに…。

なんでなの…?遥、どうして?




「琉晴…それ全部あげるよ。じゃあ杏奈行くね…」


今まで逸らされた事なんてなかったのに、いきなりこの態度はきついな…。

何で…って聞きたいのに、なんか…心ん中ぐちゃぐちゃ。









ぐるぐるした感情が渦を巻いてその場にいられなかった。

遥の側にいたらまた泣いちゃいそうだったし、何より…もう瞳を見る勇気がなかった。




「アン、待てって…」

タケが追い掛けてきて心配そうな顔で覗き込んだ。

瞳の中には今にも泣きそうな杏奈が映ってる。


うるうるしちゃって…、やだ…情けないな。




「何かイライラしてたんじゃね?気にすんなよ…」

「アハッ…だよね?うん…大丈夫、気にしてないよ……」

「…ったく…」




まだ休み時間で騒がしい廊下。

タケに腕を引かれて教室に戻った。





杏奈何か気に障る事したのかな。

遥に近付けたと思ってたのに。あんな態度するなんて…。















―コンコン―


机に突っ伏していた時、音がした。

杏奈の席は廊下側の1番後ろ。


休み時間になると人の出入りが激しいからって扉は常に開けっぱなしになってる。




たくさんの人が騒いでても誰が来たかわかった……。

だって…、杏奈を切なくさせるのはこの香りだけ。







胸を締め付けるのも…、この香りだけでしょ…?






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