生涯の人… 〜Dearest〜
会場を出たら学校の子が集まってた。
皆暑くて入口で配られたうちわで扇いでる。
杏奈と凪も日陰まで移動して慎ちゃんの友達の会話に参加した。
暑い太陽の下…、片手で顔を隠したらさっきの遥と百合ちゃんの姿が重なった。
思い出したくないのに、笑顔が…肩に触れてた手が…。
頭の中から消えてくれない。
今周りを見渡したらきっと…、遥は居る。
でも絶対近くに百合ちゃんも居る…。
そんな2人見たくない。
今の沈んだ気持ちのままじゃ、杏奈絶対顔に出ちゃうよ。
「…アン…、遥くん居る……」
「うん…知ってる…」
「あれって、何……?」
見ないって決めてたのに。
凪の言葉に反応してつい遥を捜しちゃった。
目が合った…。
遥の隣りにはやっぱり百合ちゃんが居る。
心の中がキリキリする…。
杏奈は別に遥の彼女じゃないし独り占め出来るなんて思ってないよ。
けど…触らないで。
杏奈だって側にいたい…。
こんなの苦しいよ。
走り寄れば行ける距離なのに…。
遥って声掛ければ笑ってくれるのわかってるのに…。
杏奈にはそれが出来ない。
出来ないよ…。