生涯の人… 〜Dearest〜

「杏奈もわかんないんだ。なんかずるい…アイツ……。こっちの気持ちなんてわかってないってゆーか……、遥の行動とか言葉にドキドキしたり落ち込んだりしてるってわからせてやりたいよ…」




好きな人の言葉って不思議で。

何故だか遥が言った事には大きな意味がある気がしてならないんだ。


天国にも地獄にも行ける言葉…。




あの日…。

“好きでいてくれんのは…杏奈だけでいいんだ”





どういうつもりで言ったの…?

杏奈が好きだって想う気持ちに、少しでも応えてくれるって事なのかな…。




あの時叩かれたおでこ。

遥の笑った顔を思い出すだけで…、ただそれだけで、胸がぎゅうってなるよ。




苦しくなる…。






「でも…そんな所も嫌いになれないんだから杏奈も重症だよ、本当……」

「だね…」



一生に一度、本気で好きな人に出会える時ってあると思う。

大人になっても、結婚しても。

お婆ちゃんになっても…。



その人を思い出すだけであの時の自分に一瞬で引き戻される。

杏奈にとって…、遥はそういう相手。




そんな相手に出会えた事。

これだけ遥を好きになれた事。



好きが愛に変わる瞬間…。







杏奈はその瞬間を知ってる。




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