生涯の人… 〜Dearest〜
凪と別れた帰り道。
電車から見えた空にはぼんやりと月が浮かんでた。
月を浸食していく真っ黒な雲は、寒くなる季節を迎えるかのように澄んでて…。
なんだかドキドキした。
遥が生まれた季節がくる。
杏奈達が出会った季節。
前は…、冬が嫌いだったんだ。
寒いし無性に切なくなる。
…けど、遥と出会って寒さを待ち焦がれる様になった。
冷たい空気に触れると、杏奈の心の中にほわ〜って空気が流れる。
遥の大好きなミルクティーの様に甘い気持ち。
今でも…。
その気持ちになっちゃう所は変わらないんだ。
永遠に続く事を願ってたあの頃…。
杏奈達はまだ子供で。
それでも、貴方との毎日が幸せだった。
側にいられるだけで幸せだったって、今になってわかったんだよ…。