生涯の人… 〜Dearest〜

「あっ、いた!」

「おっはー!」


旅行当日は詩衣と待ち合わせした。



まず笑ったのは詩衣の荷物の大きさ。

何日泊まる気?って位あるんだけど…。




「詩衣さ…旅でもするの?」

「ちがうよー!あれもこれも詰めたら鞄パンパンになっちゃったのぉ…」



多分中を覗けば要らない物だらけなんだろうけど…、そこが詩衣らしい。


何が入ってるのか話しながら歩いてた時…、バシッと音と痛みが重なった。



「んぎゃぁっ!!」


振り返ると眠そうな遥の顔。

朝が弱い彼の目は開いてるのかわからない程しょぼしょぼしてる。



「杏奈さぁ…もうちょっと色気のある声出せよなぁ……」



耳を手で押さえながら更に眠そうに片目をつぶってる。

こんな姿も杏奈をドキドキさせる行動で、普段絶対見れないからこそくぎ付けになっちゃう…。




「はっ、遥がびっくりさすからじゃん!!いきなり叩くと人間変な声が出るんですー」

「そんなのなー、俺の気配に気付かない杏奈が悪い」

「…むぅ。」

「出た、杏奈のむぅ…ククッ……」



人の気も知らないで…何よ、呑気すぎるよ。




モヤモヤした胸の中…。

新幹線は京都に向けて発進中…。





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