生涯の人… 〜Dearest〜

「京都だぁーっ!」

「詩衣ー、恥ずかしいから…」


京都駅に着いて第一声に詩衣が発した言葉。

横のあかりが制して相変わらずなやり取りがされてる。


現地に着いてからは自由行動だったから、あかりと詩衣と南と凪の5人で回った。



定番の清水寺。

京都で1番行きたかったのはやっぱり恋愛成就の神様。

清水寺の中にある地主神社に行ってお守りを買った。


「神頼みとは…杏奈も乙女の仲間入りだね……」

「フフッ…、何自分で言ってるだ?乙女なんて…、そんなん周りは充分知ってるだ。知らないのはアンだけだよ」



お守り1つで心がポカポカする。

今の杏奈は恋愛バカで、神頼みなんて100%信じてる訳じゃないけど……。

恋する女の子にとって“恋愛成就”って響き程強い物はないよ。


神様が味方につくならどんな試練だって乗り越えられちゃう気がするの。








「あっ、ねぇ見て!」

南の声に階段を下りる足が止まった。

三年坂から見えた紅い夕焼け。


情熱的な赤が混じった、怖いくらい迫力のある夕焼け。



「「綺麗……」」








ゴーンと鳴り渡る鐘の音がして、京都の夜がやって来ようとしてる。



1日目の……あの忘れられない…夜が始まる。





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