生涯の人… 〜Dearest〜

照明が落ちて部屋が薄暗くなった。

いきなり暗闇になったせいか目が慣れなくて…この急展開にも頭がついていかない。



「何?停電?ちょ、どうしたの?」

杏奈の慌てっぷりとは正反対でなぜか皆は落ち着いてる。

中にはクスクス笑ってる人もいる位。



「何笑って…」




―ガチャッ―


「HAPPY BIRTHDAY TO YOU

HAPPY BIRTHDAY TO YOU

HAPPY BIRTHDAY DEAR アーンナー

HAPPY BIRTHDAY TO YOU」



部屋の扉が開いたかと思ったらろうそくの火がゆらゆらしてバースデーソングを歌う皆がいた。

いつの間に外に出てたのか、凪とあかりがケーキを持って入ってきて…。





「はい、アン吹いていいだよ」

「おめでとうー、アン!吹いて、吹いて!」


皆も知ってたみたいでニヤニヤしてる。

何だこれ…。てゆーかこんなのずるい。

嬉し過ぎて泣けちゃうに決まってるじゃん、バカ。







「…本当ずるい!……もー……ありがとう……本当に嬉しい…」


目の奥が熱くって顔を上げてられなかった。

声は詰まるし、恥ずかしい位に涙は止まらないし…。



本っ当…皆やってくれるよ。





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