生涯の人… 〜Dearest〜
遥がベッドに座るからどこに座ればいいのかわからなくて、とりあえず近くにあった椅子に座った。
シュボって音がして顔を上げたら誕生日に杏奈があげたライター…。
使ってくれてるんだ。
「遥達も集まってたのに…ごめんね」
「んー?いや、平気じゃん?…俺1人居ないからって騒がれないし…」
2人って事に意識してるのは杏奈だけで…、遥にとったら普通の事みたい。
もしかして杏奈だけ緊張してるのかな?
「何か飲む?…って、お茶しかねーや。ほいっ!」
投げられた缶を受け取って小さく深呼吸した。
こんな時…、気の利いた事も言えなくて、何を話していいかもわからない。
緊張を隠す様にお茶を飲み干した。
「今日…ね……」
「うん?」
ベッドに仰向けになったままの遥に視線だけ移した。
「…あのね、今日誕生日なんだ…」
「誰が…?」
「………」
「お前のクラスの誰か?」
「…いや…だから………」
「…プッ、クククッ…嘘だよ、知ってる。杏奈の誕生日だろ…?」
ふーって杏奈の方に煙りを吐いて鼻を鳴らして笑った。
「詩衣が言ってたから知ってたよ」
「何だー……意地悪いね…」
「意地悪じゃない。可愛がってるっと言え」