生涯の人… 〜Dearest〜
詩衣とレンタルショップに来ても、意識はずっと遥達の方に飛んでた。
気になってもやもやした塊が喉の奥の方でつかえてる…。
「みんなで見るんじゃ恋愛物とかダメだよねー。遥怒りそう…。」
つぶやきながら詩衣が眺めてるのはもちろん恋愛コーナー。
切なさ大好きな詩衣は展開がわかっている様なストーリーでも涙したり…。
苦しくなったり…。
感受性が豊かですごく羨ましいなって思う。
「…フフッ、絶対却下されるよ。何で詩衣に選ばせたって杏奈が怒られるから…、やめてよね。」
恋愛物なんて借りたら遥の呆れた顔が浮かんでくる。
馬鹿者って笑いながらおでこにでこぴん貰いそう…。
「…遥達…、遅いね。」
小さく呟いた。
言葉にしたら何だか寂しくなって…、もっと遥に会いたくなったよ。
「あかりとの事…?気にしない、気にしない!
あの2人には恋愛感情とかないし。そんなの…妬くだけ無駄だよ。」
肩を竦めて笑った詩衣に、すっごく救われた気がした。
杏奈が言葉にすると醜い嫉妬みたいに聞こえるけど、詩衣が言ってくれる事によって嫌みのない言葉に変わったよ。
ありがとう…。