生涯の人… 〜Dearest〜


閉じられた壁の向こうからシャワーの音がする。

耳だけに神経が集中して、頭の思考回路がストップしてた。



杏奈が使ったシャンプーと同じ香り。

ボディーソープも…同じ。


それだけで、いけない事をしてる様な気分になっちゃう。



恋する女の子なら誰もがわかるはず…。
好きな人と同じ香りに包まれたいって気持ち。


もう頭の中は妄想でいっぱいで、1人で赤面してる自分が恥ずかしい位なんだけど…。






「んー…、ちょっとやばいなぁ…。」

頬っぺたをさすりながら右側のベットに滑り込んだ。

ひんやりしたシーツの感触が、顔の赤みを冷やしてくれてる気がする。





遥は何考えてるんだろ…。
あかりだけ帰しちゃうなんて…、杏奈が期待する何ものでもないじゃん。



遥を…側で感じたくなる…。

体を重ねるんじゃなくて、ただ…ぎゅっと息も出来ない位抱きしめて欲しいの。



それだけで幸せだから…。


言葉もいらない。

思わせぶりもいらない。





ただ…遥が居てくれたら。


そう思わずにはいられないんだ。


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