生涯の人… 〜Dearest〜
乾燥した空気。

いつの間にか寝ちゃってたみたいで、換気扇のカラカラ鳴る音で目が覚めた。



布団に入ったまま寝てたらしくて、部屋の照明はいつの間にか消えてた。

薄暗い中、ボーッとする頭を起こそうとした時…。







「んなっ…!」


杏奈の脳が見せる幻…?
実際に起きてる現実…?


今の状況が非現実的すぎて、頭で区別出来ない。






遥が…杏奈と同じベットで寝てる。

しかも後ろから抱きしめられてる。



さっきまで願った事だけど…何で?

どうして…?








びっくりして動いた時遥の腕に力が入った。


「はっ…遥…?…ちょちょちょちょっ…、どうしちゃったの?」

「…。」

「遥…?」

「寒いから…。このままで寝ようと思って…。」



状況を把握出来なくて動けなかった。

全身が心臓になったみたいに脈打ってる。



背中越しに聞こえる遥の心臓の音と、杏奈の心臓の音が…。

同じリズムを刻んでる。



遥もドキドキしてるのがわかるよ…。







杏奈と同じ位、ドキドキ言ってるじゃん。




いつもは気にならないのに、部屋の時計の秒針でさえ聞こえる。



カチカチカチ

まるで2人の時間を刻むみたいに……1秒、1秒。



大切な音に聞こえてくる。


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