生涯の人… 〜Dearest〜
「…ねぇ、どうしたの…?」
「……。」
「…酔っ払ってる…とか…?」
「…わっかんねぇ…。」
その一言だけ残して、何も喋らなくなった。
微かに聞こえる寝息…。
こんなのってずるいよ。この状況で期待するなって方が難しいじゃん。
期待するよ…。
もっと好きになる…。
遥の心の寂しさに入り込んだ事位…わかってるけど。
それでも杏奈の側に居たいって思ってくれるなら。
バカな女でもいい…。
廊下を行き来する足音が聞こえる。
カーテンの隙間から太陽の光が入ってきて、いつの間にか朝がきてた。
結局、どういうつもりで抱きしめてるのかはわからなかった。
でも今…、大好きな腕の中にいる事だけは事実。
「遥…?杏奈部屋に戻るね。」
「…う…ん……」
起きる気配がない遥の腕をすり抜けて、自分の荷物を手に取った。
パタンって音と共に、部屋の景色が見えなくなってく。
廊下を歩きながら高鳴る胸を押さえ切れなくて、少し早足に歩いた…。
昨日の部屋に行ったら何人か起きてて、ルームカードと荷物を受け取った。
徠が起きててどこで寝たの?って聞かれたけど…。
「…タケとロビーに居たよ。」
って……。何で嘘ついちゃったんだろ。
自分の部屋に戻って洋服を着替え直したら…さっきまで遥が抱きしめてた甘い香りがした。
何でだろう…。
泣きそうになった…。