生涯の人… 〜Dearest〜
7-lovers
秋も半ばに過ぎた頃…。
修学旅行の荒波なんてなかったみたいに、毎日が過ぎていった。
遥と杏奈の間に何があったか知ってる人は…いない。
気付く人なんていないよね。
だって、遥…普通だもん。
気付かないふりなのか、本当に覚えてないのか。
杏奈が自分から聞くなんて悔しいじゃん…。
変なプライドなんて捨てちゃえばいいんだろうけど、杏奈の精一杯の強がり。
そんな事位で揺らされてないって思わせたい。
でもね、あれから変わった事が1つ。
誕生日に遥の煙草を吸ってから、杏奈も吸い始めたんだ…。
バカなのはわかってる。
こんな事しても意味ないって事…。
でもね、遥と同じ事をしたいって気持ちが杏奈を動かしてくんだ。
遥に近付く事しか考えられなかった。
バカになった杏奈を見て…呆れてるよね。
でも…それでもいいもん。
学校の裏に喫煙所がある。
緑のフェンスで囲われてて中は1年生と2年生が入り混じってる。
ある意味交流の場でもあり、出会いの場…なんだってさ。
詩衣と中央にあるベンチに座って空に上がる煙りを見つめてた。
―バシッ―
「いっつぁー…」
突然叩かれた頭をさすって後ろを振り返ると、手首のスナップを利かせた琉晴の姿があった。
「座れん…。もうちょっと詰めー…」
「…てゆーか…ぺしぺしぺしぺし人を物みたいにー!口がないの?」
杏奈の言ってる事なんて無視って感じだし…。
すでに携帯いじって話し聞いてないし。
本当、琉晴って…。