生涯の人… 〜Dearest〜
「お前はほんっま…毎日暇人か…!」

目を細めて…杏奈を哀れむみたいな顔で見てくる。


「ちがっ!バイトしてるもん…。琉晴こそ暇人じゃん。バイトもしないで毎日何ひゃって…」

「こーのーくーちーかー?!生意気言うんは…」


頬っぺたを片方引っ張っられたままぐーって伸ばされた。

琉晴の顔は…やっぱり…。


こっちが突っ込みたくなる位笑ってるよ。



「痛い痛い!!」

「俺を暇人扱いするお前が悪い」

「だって…!じゃあ今日は予定あるのー?」














何気なしに聞いた事だった…。

むしろ、売り言葉に買い言葉的な感じで。


これが杏奈の運命の引き金になるなんて…思わなかったよ。




「あれ?言ってへんかった?俺らヘアーショーやる事になっとるんよ」

「はい…?」





意外な言葉にびっくりした。

専門学校の子達は自分でクラブを借りてヘアーショーを開いたりしてる。


杏奈もやりたい願望はあったけどなかなかメンバーが集まらなくて実行する事が出来なかったんだ…。

美容学生なら誰もが憧れる事。


でも大概の人が思うだけで実行に移す事なんて簡単じゃない…。




「えー!!聞いてないし。いいな、杏奈もやりたいんだよねー」

「……っか…」

「何…?」

「…そうやな……」



閃いた顔で琉晴が煙りを吐いた。

ゆらゆらと上がる煙りは綺麗な孤を描いて空へ…、空へ昇ってく。



「じゃぁ、やる?アン達にやってもらうんが1番やな…」

「………?」


1人で納得する琉晴。

話しの流れがいまいちわからなくて理解出来ないんだけど…。


「ちょっと待っとけ」


琉晴は携帯を出して誰かと連絡を取り始めた。


じゃぁ、やる?ってショーの事だよね…?




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