生涯の人… 〜Dearest〜


日が暮れて夕日が傾いてる。


初日から話し込みすぎちゃっていつの間にか2時間も経過してた。



「やべっ、皆時間大丈夫?」

「アン、お前時間は大丈夫なんか?」

「うーん、そろそろ行こうかな…」

「まじわりー。じゃ、今日は解散って事で」






駅前のカフェで集まってたからホームに行くのはすぐだった。

階段を降りながらいつものように琉晴にちょっかいを出されて頭を叩かれて…。


その光景を初めて見るあっくんとマミは爆笑してた。



「だから痛いってば、バカ琉晴!!」

「はーん…、お前なぁ…いつから俺にそんな口が利けるようなった」

「もー、杏奈の事はいいから!」




いつもと同じ会話を繰り返して…。





でもね、杏奈気付かなかったんだ。

琉晴がしつこくちょっかい出してくる時は必ず杏奈を元気づける時だったんだね…。




変な所優しいからさ。


わからなかったよ…。








「琉晴はモデルといつ顔合わせするの?」

「俺…は……んー…その事だけどな……。アンにはきついかもしれんけど、後々知るよりいいから今言うわ…」








琉晴の言葉が解らない…。

直感で、聞くのが怖いって感じる。




出来る事なら耳も、目も。


遥に通じる全ての穴を塞いで欲しかった。







「…俺やなくて…遥が使うモデルなぁ……」



咄嗟に……、琉晴の服を掴む杏奈がいた。


言わなくてもわかるよ…。




だってこんなに言いづらい相手なんて1人しかいない。














            


「還奈さんやって……」









階段の白熱灯がチカチカしてる。

電球が切れる直前みたいに…、チカチカ…チカチカ…。



杏奈の心もね充電が切れそうだよ。

足が止まって動き出せないんだ…。




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