生涯の人… 〜Dearest〜
杏奈達はまだまだ幼くて…。


特にこの時期は誰もが不安定になる歳で、自分の足で歩く事が怖くて堪らなくなる。


杏奈だってそうだよ…。




詩衣だって叶わぬ想いをずっと…ずっと抱いてるよね。



でも……



「アンは変わった…。すごく良い意味でね」



諒士の家の汚い部屋の隅で笑い合った。





少しかび臭い壁も…隙間風が入る窓際も。

杏奈達の事、見ててくれてる。




「いつか後悔させてやろうよ!杏奈達みたいな良い女を選ばない男にさ…!!」

「だよねー…是非とも後悔してもらいたいね!」





詩衣と杏奈。


会えば恋愛の話ばっかりして…、でもいつも杏奈の為に泣いてくれる子。




詩衣にも幸せが訪れるといい…。








今の自分の全てを振り返った時自分らしくいれて良かったって思って欲しい。



離れた場所でショーの進行を考えてた遥達が笑ってる。


きっと……気付いてるんだろうけど。






杏奈達の涙に気付かないふりしてくれてる。



だって…笑った横顔が優しいもん。






いつも意地悪な笑い方しかしない琉晴の顔でわかるよ。



ありがとう…。










本当に…、ありがとね。




涙の裏の強さ。





やっとわかったよ、遥…。




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