生涯の人… 〜Dearest〜

強く在りたい

あかりの言った通り…自分達で衣裳を造るのは結構大変だった。

ショー本番2週間を前にしてもまだ完成してないって…。


なのに…。危機感を感じてるのは女チームだけでうちの男達ときたら。



「まだ2週間もあるやん。アン達焦りすぎやって……」

サブリーダーのあっくんがこの調子。


それでも皆で悩み抜いたのが春のウェディング。



ベールは出来たのにのドレスを型に合わせるのが難しかった。


美容学校にデザインの授業なんてある訳ない。

何回も試着しながら作り上げたから1番思い入れが強いかも…。



あのウエディング…、杏奈も着たんだ。

還奈さんが着る衣裳。



ほぼ完成に近かったから髪もアップにして雰囲気を見てみようって事になって…。

遥に髪を触られてる間全ての神経が麻痺した。

地肌を通るブラシの音まで響いて、頭の血液が上昇してく。


ふわって被せられたベールに気付いて目を開けたら…。











鏡の中には別人の杏奈がいた。


後ろに映る遥は口にピンを加えながらベールの角度を調整してる。


「衣裳はいい出来やけどモデルがいかんなー…」


真顔の琉晴から冗談に取れない言葉が聞こえた。

けど、今の杏奈には突っ込みを入れる余裕なんてない。



「こんな感じかぁ?」

前から覗き込まれて急いで目を閉じた。


閉じててもわかる…。

遥の視線が…、わかるよ……。






今は頭…、耳…、服…、つま先。


顔が赤くなってくのを感じた。


頭のベールが外されてピンを抜いてた時、



「…クックッ……杏奈ー?耳まで赤いけど…?」


人差し指で耳たぶを掴まれた。

押さえ切れない熱が上がって自分でもわかる位顔が熱いよ…。



「だっ…、だって皆の視線が強いんだもん!そりゃ赤くもなるよ…」




本当は…遥のせいだよって言ってやりたかった。

わかってるのに意地悪な奴…。




遥ってそういう奴だ。





でも好き……。




すっごいすっごい好き。





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