生涯の人… 〜Dearest〜
皆で盛り上がってお酒を飲んでた時、他のモデルと話してる還奈さんを見つけた。


「…よしっ…頑張れ杏奈……」


自分にエールを送って還奈さんの前に立った。


内心はめちゃくちゃ緊張してたし…ドキドキも最高頂だったと思う。

口から心臓飛び出しそうな位。


杏奈にとって還奈さんは憧れだから…。







羨む事で自分を守ってきたんだと思う。

きっと…、認めるのが怖くて近付く事から逃げてた。




「あっ…あの……」

「うん?……あー!お疲れ!!ごめんね、あたしから行こうと思ってたのに」

「いえいえ、そんな……」

「すっごい良かったよー!!うちらモデルにも大好評。あたし参加出来て良かったって思ったもん!」



こっちも笑っちゃう位の笑顔で、本当に嬉しそうな顔。

あぁ……、敵わないな…って思った。

あんなに頑なだった杏奈の心を一瞬で溶かした笑顔に…。


還奈さんに感謝出来る自分に変われる。




「いや…そんな、そんな!!こっちこそありがとうございました。……あの…還奈さんと出来て楽しかったです…、本当に……」



心からの気持ちを伝えたかった。

今言った言葉は…嘘じゃないよ。


「つんつん…」

「………?」

人差し指で杏奈の肩を突いて還奈さんはニコッて笑った。


「もうさ、仲間なんだから敬語はなしにしない?あたしもアンちゃん達と出来てすっごい楽しかったから…こちらこそありがとね!」

カポンって鈍い音が鳴って還奈さんと杏奈の缶が合わさる。






遥……。

遥の好きになった人は素敵な人だね。



杏奈がこんなに楽しい気持ちでショーに望めたのは還奈さんが最高の人だったから。

人間的にも女性的にも憧れちゃう…。





出会わせてくれて、本当にありがとね。






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