生涯の人… 〜Dearest〜
「あのさ……、杏奈が俺と出逢えてよかったって言う度に……どれだけ救われてたか…。お前知らねぇだろ…」
遥の本当の気持ち。
弱い心を隠しながら強さを求めてたよね…。
還奈ちゃんを失った穴は大きくて…それでも杏奈を必要としてくれた。
でも…、気付いてたよ。
杏奈が遥でなきゃダメなように……遥も…。
「…俺……勝手な事ばっかしたし自分勝手な事ばっかり言うし。……杏奈の事傷付けてばっかだけど…、嘘だけはつきたくないんだ」
「…は…る……わかってるよ…杏奈……遥が今まで自分に正直に接してきてくれてたって………還奈ちゃんの事でしょ?」
「…ん……」
「…言って………大丈夫だから…言ってよ……」
「うん……還奈を…思い出に出来ない…」
「…うん……」
「…杏奈と一緒で……気持ち嘘つけない………ごめん…」
埋められない空間があった。
縮まらない距離があった。
それでも…、遥と出会えた事を後悔した日は……1日もありませんでした。
「遥…好き……すっごく好き……好き…」
想いが溢れ出した。
言った瞬間…体が遥でいっぱいになる位。
杏奈さ、ずーっと見てきたから知ってるんだよ?遥のずるい所…。
そういう所がもっと好きにさせちゃうの。
でも…、甘えてもいいよね?
この腕に寄り掛かってもいいんだよね…?
杏奈を見つめながら……ぎゅって抱きしめた遥。
大好きな匂い…。
ねぇ、杏奈の大好きな腕。
「……ん……知ってる………杏奈の気持ち…絶対に忘れねーよ…」
気が付いたら涙で視界が見えなくて心はパンクしてた。
通じ合えなかったけど…。
遥の手を握る事は出来なかったけど…。
こんなにも満たされた気持ちになれたのは、全力で恋したから。
背中に手を回す事は出来ないけど……、お願い…。
杏奈を抱きしめる遥の温もりを下さい。
これから先辛い事が起きても立ち上がる強さを持てるように…。
遥と過ごした日々が褪せる事がないように…。