生涯の人… 〜Dearest〜
煙草の煙りを吐く音と、遠くで聞こえる車の音…。
遥が何を話そうとしてるか検討がつかないけど…。
全ての空気が…―
遥と…杏奈だけの世界に変えてる。
そんな気がした…―
「杏奈の気持ちすげぇ嬉しいよ…。ありがとう。
俺さ…。杏奈の事…、カラオケで会う前から知ってたんだ。」
えっ…?
思わず肩から離れて顔を合わせた。
期待したくないのに、出会う前から知ってたんだ…、なんて鈍い頭で考えてた。
「ど…ゆぅ…意味…?」
「俺の好きな人の名前…。
伊原還奈(カンナ)って言うんだ…。
杏奈と1文字違いって…、びっくりだよな。」
何…?
遥、何言ってるの?
杏奈と遥の好きな人が1文字違いって…。
そんなのってないよ。
何で名前が似てるの…?
遥は杏奈の名前呼ぶ度に、彼女の事…想ってたのかな。
忘れさせる所か…。
いつも、いつも…。思い出させてたんじゃん。
ねぇ…、これは何かの罰なの?
杏奈が好きなのはダメなのかな…?