生涯の人… 〜Dearest〜
「ちょっと面白いから写真撮ろうよ!」
「だな、さっき健がいたから俺頼んでくる」
遥の友達が近くを歩いてたみたいで改札を出た所に集まった。
5人で固まって横並びになった時…。
皆が遥の隣を空けてくれてる。
杏奈の為…?たまたま…?
どっちにしろ自然にやってくれちゃう皆が好き。
「杏奈ー…荷物持って」
甘えるみたいに…杏奈だけに差し出される鞄。
ねぇ……?
この間の告白が嘘みたいに…、明日からもまた会えるみたいに。
杏奈達…普通だね。
今日が学生最後じゃないって…、錯覚しちゃいそう。
「んじゃ撮るよー」
笑えたよ…。
遥の写真に残る杏奈は…。
思い出すのは…、笑顔であって欲しい。
「俺らちょっとコンビニ行くから」
遥と琉晴はタバコを買いに行っちゃって荷物を持たされたまま…。
「うちらはあっち行こうよ!」
あかりが指差す方向にはうちの生徒でいっぱいのロータリーがあった。
女の子は大体袴で来てたけど中にはチャイナドレスを着た集団。
アイドルの格好を真似る人。
振り袖を着てる人。
スーツをギャング風に着こなす人。
色んな人が居て見てて飽きない位。
杏奈達も皆と写真を撮って会場入りした。
入口をウロウロしてた時黒のスーツを着たタケを発見。
「タケー!!」
全力疾走で向かっていつもみたいに両手を広げて飛び込んだ。
何の躊躇もなくタケの腕に飛び込める…。
杏奈をずっと、ずーっと…。
見守ってきてくれた力強い腕の温もり。
その気持ちに応えるように……ギュッと力一杯抱きしめた。