生涯の人… 〜Dearest〜
シンプルな縦縞のスーツが似合う。
普段は時計しか身につけないの知ってるからかな…?
タケの右手の親指に光る指輪が嬉しかった。
「おはよう!スーツ似合うじゃーん!!……指輪…彼女から?」
嬉しくって胸が熱くなる。
言葉にしなくてもタケの想いが伝わるから…。
離れてる彼女と頑張った2年間だったよね。
不安でダメになりそうな時も、タケの一途な気持ちで乗り越えてきた事…。
杏奈、知ってるよ。
「いっだぁ!!」
ぎゅって鼻を摘まれた。
タケは何も答えてくれなかったけどそれは上手くいってる証拠。
その笑顔を見れば…わかる。
ポンっと頭に手を乗せて上から杏奈を見下ろす瞳は…今日も変わらず優しくて。
タケの存在はいつも杏奈を安心させてくれるんだ。
友達よりも…、恋愛よりも…。
もっと深い所で繋がってる気がする。
「気持ち…伝えたのか?」
タケと手をパチパチ叩き合わせながら話してた。
告白した事。
後悔しなかった事。
この想いは…無駄じゃなかった事。
抱きしめてくれた事は言わなかった。
キスしてくれた事も言わなかった。
杏奈だけが知っていたかったから…。
誰にも触れられないように記憶の中に閉じ込めたの。
「アン…かっこいいじゃん。そんだけ人を想えたって……誇りに思えよ」
うんって……頷いたの見えてたかな。
タケなら頷くだけで精一杯な杏奈の気持ち…、わかるよね。