生涯の人… 〜Dearest〜
琉晴から逃げてタケの所に戻った。
ちょうど凪も来て飲めないお酒を飲まされた顔してる。
真っ赤な顔でグラスの中身なんて半分しか減ってないし…。
眠くなる直前の子供みたいに手が暖かい。
杏奈は…、そんな2人が大好きだって思ったよ。
「杏奈も混ざるー!!」
凪をギュッと抱きしめた。
いつまでもこうしていたい。
歳を重ねても結婚しても…。
自分をさらけ出す場所を大切にしたい。
「アンはー…うちらの所に居ていいだ?話さないといけない相手は………あっち…」
凪が指差す先……
最後に…言葉を交わしたい人。
こんなに広い会場でも、どんなに人の波に埋もれても…。
杏奈から見える遥はいつも輝いてる。
タケにも肩を組まれて、
「アン、今ここで言葉を交わす事がお前に出来る事。今は今しかねーんだぞ…」
タケの顔を見上げたら目に熱いものを感じた。
何だろ……。
急に最後って想いが込み上げて喉がぎゅって苦しくなった。
杏奈を押してくれる強い瞳。
「うん……行ってくる…」
背中を叩かれて走った。
視線の先には太陽みたいな笑顔の彼。
今この瞬間がこぼれ落ちないように…。
ぐっと歯を食いしばって走った。